【第六回 川上弘美（後編）】
川上さんとお話してたら
なんだか詩物語が書きたくなりました。
いつも現実ばかりを綴るあたしに
ひとつおもしろい遊びを教えていただいたようで
お伽の世界を空想するのは小学校以来です。
でわ、
これは水仙になった女の子のおはなし
遠い昔、ギリシャの国。
「…わたし、何してるんだろ。」
ふいっと考え
歩き着いたのは マルメロのみずうみ
覗く水面にいたのは水の精。
まさに間違いなく！女の子は
恋をしました。
焦がれてこがれて 触れることもできないで
会いたくてあいたくて 眺め続ける
焦がれてこがれて 飽きることも知らないで
会いたくてあいたくて 日がな通う
手をつつ、と差し出せば
ゆがんで消えてしまう
から
ただ静か、見つめるだけしかなくて
そして女の子は心決めて
或る日、水に飛び込んだ
ちゃぷん。
これは水仙になった女の子のおはなし
…自分の姿なんてどんなか知らなかったから
は、あたし
川上さんはちゃんとちゃんと、
自分を知ってて。
水中でたじろぐあたしを
すいすいと迎えに来てくれるカエルさんに会えたら
いつかどこかでまたおはなしの続きをさせてください！
幸せになる笑顔をありがとう御座いました。
一青窈
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