‡〜リトルバスターズ〜‡

---騒がし娘の告白大作戦!/理樹×葉留佳/甘い話
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一限目の授業が終わり僕はトイレに向かう。

昨日の夜、真

一限目の授業が終わり僕はトイレに向かう。

昨日の夜、真人が部屋の窓を開けっぱなしに(ぶっこわ)して筋トレしていたが故に、風邪を引いてしまった。

「…真人の馬鹿。」

鼻を啜りながら幼馴染みでもありルームメイトの真人に少しだけ悪態をつく。
…どうせ今日もクドと一緒に「筋肉、筋肉〜」
とか騒いでいるのだろう。…多分謙吾も。

(あぁ、いつぞやのCOOLな君は一体何処へ…?)

彼は事故にあってからネジが数十本外れ、もう駄目な感じに頭がおかしくなってしまった。
…謙吾を慕っていたさささせがわ…じゃない、笹瀬川さんが可哀想だった。
まぁ、哀れなさささっさーさんの事を考えると、真人を責めるとかどうでも良くなった。

「うぅ…鼻が…」

様々な想いを胸に、僕はカチャリと個室の扉を開ける。




「はるちんぼーん!!」

「うわぁ!?って葉留佳さん!?えぇー!?何で此処にいるのさ!此処は男子トイレだよ!?」

突如、勢いよく出没したのは、リトルバスターズのムードメーカー(ブレイカー?)三枝葉留佳さん。

えっと…ここは男子トイレ…だよね?(^^;)(;^^)
本当に脈絡ない。


取り敢えず、廊下に引きずり出す。

「やはー、理樹くん!ふふふ…何故はるちんが此処に居るのかって目をしてますネ♪」

ご機嫌な様子で脈絡のない事を聞いてくる。
と言うか、僕いま聞いたよね?

「…僕に会いに来た、とか?」

おもしろ半分でボケてみる。いっつも突っ込みサイドは辛いんだよ?

「えっ!?………やはは、理樹くん、冗談…キツいですヨ?」

顔が真っ赤だ。恥ずかしいのか僕から目を逸らして俯いてしまう。もて余した右手で髪飾りをクルクルと弄りながらつま先で床を軽く小突く仕草をしてみせる。

…え!?何故?Why?ホワーイ?
何故にこの反応!?

もしかして…マヂで?
図星なのか!?

…いやいやいやいや、そこまではないだろう。

うん、自惚れるなよ…僕。
さぁ、落ち着けおちあけ…ボドドドゥドー!

廊下から、『筋肉さんがこむらがぁえった!』という2人分の野太い声と、『おまえらきしょい!!』という鈴の声が聞こえた。

「……………」

「……………」

なんだこの空気(汗
というか、男子トイレ入り口で馬鹿2人の『筋肉さんがこむらがぁえった!』をBGMにお互い無言で立ち尽くす僕と葉留佳さん…
(…物凄くシュールだ)

なんか、このままだと何も変わらない気がする…

「…あのさ、ごめんね?変な事を言っちゃって…」


僕は取り敢えず謝る。
謝ればいつものように笑って許してくれるだろう。

「…ううん、理樹くんは…別に変な事を言ってなんかないよ」

しかし、彼女はいつもよりしおらしく…
いやいやまてまてなんだよこの空気は…

『筋肉さんがこむらがぁえった!』
『筋肉、筋肉〜』
『筋肉です〜』
『マッスルだよ〜♪』
『筋肉と言えば小毬君は相変わらずぷにぷにだな』
『うん〜。唯ちゃんも〜』
『ウッ…だから唯ちゃんは…//』
『私的に、男性同士が良いと思いますが、今の状況はありです。』

増えていた!!?


「あ、あのさ、理樹くんっ!」

葉留佳さんが口を開く。
「…ん?な、なに?」


僕が聞き返すと葉留佳さんは暫く無言。
口をパクパク。
慌ててる時の小毬さんみたいだな…
『ほわぁあぁあぁ〜』
とか言う小毬さんの顔が浮かんで少し微笑ましくなった。

暫く酸欠状態の金魚みたいだった葉留佳さんが一回深呼吸する。

そして
「いや…あのね、理樹くん」
絞り出すような声。
気まずいような、恥ずかしいような。
どうしたらいいかわからなくなるような響きだった。

「うん、大丈夫。葉留佳さんの好きなタイミングでどうぞ?」

「うん…」

絞り出すような小さな声で頷く葉留佳さん。

やがて

「真剣な、お話なんだ」

彼女の口から漸く言葉が紡がれる。


真剣って…場所を選ぼうよ。そう思ったが、敢えて言わない事にした。
野暮なことだってくらいわかるから。

「聞いてくれるかな?」

あまりにもシュール過ぎる状況ではあるが、それでも葉留佳さんは真剣な表情をしていた。

いつだっただろう?
僕はそんな彼女の表情を見た事があった。
その時に自分がなにか物凄く恥ずかしい事を言った記憶が確かにあるのだが、それを思い出すことはできなかった。

「こんな場所でごめんね…でも、私はどうしても理樹くんに言いたい事がありまして…デスネ」

いつものように、笑った。でも、今にも泣き出しそうな、少し戸惑うような顔をしていた。

何処かで凄まじい衝撃と馬鹿2人の断末魔が聴こえるが…全力でシャットアウト。
僕は何も知らない。
何も聴こえない!!


「理樹くんは私と違っていつも誰かと一緒に居るからさ、今まで言えなかったんだ…」

葉留佳さんは顔を伏せる。いつか、何処かで、自分だけの居場所が欲しいと願った少女。
彼女は今も求めているんだ。

彼女だけの居場所。


「葉留佳さん?」

朧気ながら、それは分かる。

僕は見ていたから。
その時、ずっと。
いつかの時、ずっと。
繰り返す一学期の中で。

「理樹くん、こんな場所だけど、今しかないから私は言うよ。私はね…理樹くんが、理樹くんのことが好き」

その瞳には確かな光が宿っていて。
いつかの弱さはなかった。あぁ、思い出した。
いつかの時、彼女は同じように僕を求めた。
今ならハッキリと思い出せる。
ザワザワと風に揺られた葉の音が解放された窓から聴こえる。

「葉留佳さん!?」

ふわりと抱き締められた。
仄かに香るオレンジが僕の鼻腔をくすぐる。


「理樹くんが好きだった。…ずっと前から。」

――大好きだった…初めて出会って、話をした時から。

「覚えてるかな。私が一人であの中庭のベンチに座ってたあの日。」

――寂しくて、寂しくてたまらなかったんだ。

「そんな時にね」

――キミに出会えた。理樹くんはこんな私に声を掛けてくれた。

「―…優しく笑ってさ」

――どうしたの?って聞いてくれたんだよ?

「ただ、それだけなのにね」

――私は…貴方を好きになった。

あぁ、そうだ。
寂しそうな彼女を見ていて堪えられなくなった僕は、彼女に声を掛けた。

「私は生まれて初めて、恋をした、こんな私にも人を好きになることができた」

だから。と言葉を紡ぐ。

「私はさ、逃げちゃダメだって思ったんだ。」

――この気持ちからだけは。理樹くんからだけは……絶対に逃げたらいけないって思ったんだ…

「私は、負けたくない。」
――クド公にも、姉御にも。小毬ちゃんにも鈴ちゃんにも。

「理樹くんは可愛いからさ」

――それに、すっごくすっごく…すっごーく優しくて、カッコいいからさ。

「はるちんは…」

―…キミが欲しくなってしまったのですヨ♪

「…え」

その場に押し倒される。 来々谷さん程ではないが、充分に存在感のある胸にドキドキした。


「理樹くん、エッチな子は嫌かな…?」

不安げな表情。

上目遣い。
羞恥に染まる赤いほっぺた。

いつもとは違う雰囲気に。

―…ううん。嫌じゃない。
そう思った。

「…僕も葉留佳さんが好きだよ」

だから、僕は彼女の想いに応えた。

「両、想いに…やっと…」

泣き出した葉留佳さんを強く僕は抱き締める。



場所は廊下。公衆の面前だけど、この際関係ない。


「ねぇ、葉留佳さん。」

――キス…していい?

返事は無い。
ただ、僕を抱き締める手に少しだけ力が籠った。

それを肯定とし、そのままの姿勢で葉留佳さんの顔に近付く。

ひたすらにドキドキする。

「…大好きって」

「え?」

囁くような彼女の声。
蚊の鳴くような小さな声で、でもそれは…僕の心にしっかり届くボリュームで。


「大好きって、言って欲しいな…」

―…はるちんは…欲張りですかね?

「そんなことないよ。」

全部知ってる。
彼女は欲張りなんかじゃない。
今まで、誰からも愛を向けられなかった可愛い1人の女の子。

僕の大好きな人。

「…思い出したから」

あの世界でのこと。

ずっと忘れてごめん。

それと











「…大好きだよ、葉留佳さん」














重なる2人の唇は



















甘く















ただただ甘く

















「もう二度と、離したりしないから…何があっても、忘れたりしないから」













「…理樹くん」

「…葉留佳さん」













「「大好きだよ」」
















もう一度重なりあう2人の唇。















それは

ここから紡がれていく恋物語の序章











2人で創っていく、愛の一頁。











もう、馬鹿たちの声は聴こえて来なかった。














あとがき


改良ばん。
雪音的にはこれが限界です。
良かったら感想を…
なにか指摘してくださると有り難いですネ♪
はるちん萌え〜、とか(笑)
次のページには後日談が載っています。
よろしければ見てってくださいネ♪

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