1/1ページ目 理樹の部屋にこんな物が落ちていた…… 【三枝葉留佳観察日記】 な、なんの冗談なんだ理樹。 表紙の筆跡から推測すると三枝の物だと思われるのだが、何故こんな物が理樹の部屋に転がっているんだ? 俺は、無造作に放り出されていた日記を手にとる。 気になる、非常に気になる。 日記と書いてあるのを見ると読みたくなってしまうのは、人間の性なのだろうか? 幸い、部屋には俺しか居ない。 理樹は三枝と一緒に西園の家に遊びに行っているし、さっきまで一緒に筋トレをしていた真人は俺に留守番を頼んでフラりとさすらいの旅に出ている。 きっと、今日は誰も帰って来ないだろう。 ……よし読もう。 思い立ったらすぐ行動。 俺は約二秒で結論を叩き出し、最初のページを開いた。 まぁ……あの三枝のことだ。特に見られても恥ずかしい事は書いていないだろう…… 8月○日 なぜ僕がこんな変態紛いな日記を書かなくてはいけないのだろうか? 事の顛末は、今日の午後迄遡らなくてはならないのだが……そう、アレはちょうど葉留佳さんお手製の愛妻弁当(まだ妻ではない)を食べ終えた頃だった。 今思うと、葉留佳さんが何時になく恥ずかしそうに頬を薄赤く染めながら「理樹くん理樹くん…」なんて甘えたように僕のYシャツの袖を握ってきたことが全ての始まりだったんじゃないかと思っている。 えっ? それがこの観察日記となんの関係があるのかわからない? ……まぁ、いつもの事なんだけど。 分かりやすく説明すると、その時葉留佳さんに、交換日記がしたいと言われたんだ。 メールとかあるのに、なんで交換日記なんだろう? とか思ったけど、何かのマンガの影響なんだろうと思ってその話に了承した訳。 それで渡されたのがコレって訳。 まず、1つ。これは交換日記ではない。 2つ。こんなものが誰かにバレようものなら、僕は学校中から変態の烙印を押される。最悪、リトルバスターズから抜けるハメになるだろう。 まぁ、それが無いように今言い訳がましくこんな事を書いているんだけど。 ――葉留佳さん、今の僕はどうみても変態です。本当にありがとうございました。 −−そう思っていた時期が私にもありました。 こ、コイツは理樹の日記じゃないか。 なんというフェイント!! それにしても、三枝…お前は何を考えている。 8月△日 一晩悩んでみて、何かが吹っ切れた気がする。 取り敢えず、葉留佳さんの思惑通りに観察日記を書いてみる事にした。 と言っても、まだ何を書くかすら決まっていないし、そもそも観察という響きが何だかアレだ。 ちなみに、やはりこれは交換日記などではなかったようだ。 問い詰めたのだが、明後日の方向を向いて口笛を吹いていた。 でも、まぁ…僕は葉留佳さんのそんなところを好きになったんじゃないかと思う。 そういう子供みたいな行動も全て含んで、僕は葉留佳さんが好きだ。 三枝ぁぁああああ!!! 俺は今、激しい嫉妬に燃えている!! 一年前まで誰々が好きだなんて素面で言えなかったような理樹が……お前の事を……グスッ 8月×日 さて、葉留佳さんについて書こうと思ったのだが、なんだろうか? やはり、何を書いたらいいのか分からない。 葉留佳さんとの約束だし(今日の朝、やんわり断ろうとしたら泣かれた。「私のこと、見てくれないの?」なんて……内容がこんなじゃ無かったら完璧に堕ちる台詞だと思う)破る訳にはいかない。 あーもうっ! こうなったら恭介にでも相談を……駄目だ。 そんなことしたら二度と僕の送ったメールや電話に返事を返してくれることが無くなるのが目に見えている。 もしくは、直々に学校に乗り込んできて 面白おかしく騒ぎ立てるだろう。 どちらにせよ、僕の平穏な青春は泥にまみれるだろう最悪の結末が待っている、故に却下。 取り敢えず、今日も葉留佳さんは元気だ。 なんだろうか、俺は理樹が分からない。 特に最後のフレーズ。 三枝を金魚か何かかと思ってしまったじゃないかwww 8月℃日 真人曰く、葉留佳さんの心には物凄い量の筋肉が付いているらしい。 「アイツの日頃の行いを見ていれば分かる! 辞書貸してくれーとか、宿題教えろーとか図々しい!」って言っていた。 それはキミの事だよ真人……と指摘したかったけど、ああ見えて真人はガラスのハートの持ち主だ。 只でさえ、皆からの扱いがギャグキャラで固定されつつあるのに更に追い詰めるような事はしたくない。イジメ、ダメ! 絶対! なんか書いていて気が付いたけど、だんだんと葉留佳さん観察から内容が遠ざかっている様な気がしてきた。 で、話を元に戻すと……葉留佳さんの心の筋肉は真人の筋肉とは相容れない存在なのだそうだ。 考えた末に、似た者同士は反発し合うのだろうという結論に達したが。 これを葉留佳さんが見たら、きっと物凄い勢いで否定するのだろう。ちょっと想像して可笑しくなった。 心の筋肉…… ふむ、中々に悪くない響きだ。 次のバトルランキングで真人にでもつけてやるかwww まぁ、俺が勝つのは当たり前の事実だからな 後日。 「へっ! お前にはこの称号がお似合いだぜ、謙吾」 【心の筋肉】 な、なんだとぉぉおお!? 8月*日 最近はまた、野球の練習を始めた。 面子が面子だし、去年よりも格段に運動能力が上がり成長したメンバーが多いと思うのだが、野球練習中の葉留佳さんが可愛くてしょうがないのも成長した点の一つなのだろうか? 前は葉留佳さんのスライディングキャッチを見る度に、怪我をしないかひやひやしていたのに、今はヒラヒラ揺れるスカートとその中身にしか注意が向けられなくなってしまっ*#-%$\&>+"#&%@゚】−±!!? あぁぁぁああああああああああっ! 理樹ぃぃいいいい! どこで何を間違えたんだお前はぁぁあああ! 8月∵日 日記の事が西園さんにバレた。 やはり、観察日記なんて変態まがいなものをローソンで書くべきじゃなかったと猛烈に反省している。 僕に向けられた軽蔑の眼差しは、それはもう堪らなく興奮す……じゃなくて! 誤解を解くのが大変だった。 確かに、海水パンツにシャツ一枚の男にローソンでそんなことを言われても信じてくれる人は少ないと思うけど、四時間にも渡る説得と、表紙の筆跡が葉留佳さんのモノだったことが効を奏して、警察にだけは連絡するのを止めてくれた。 明日からはこれをネタに脅されるんじゃないかと、わくわ……ビクビクしている。 決して僕はMじゃないと思うけど、西園さんに罵られると興奮してしまうのは何故だろうか? 想像して欲しい。 あの冷ややかな視線に相まって発せられる「……変態」という台詞を。 これで反応しない男はもう男じゃないよ。 ちなみに、この日記の事を葉留佳さんに話したんだけど、本人はすっかり忘れていたようで、少し落ち込んだ。 もう知らないよ! 西園さんに二股してやるんだから!(泣) 理樹の日記はここで終わっていた。 ――なんという変態。 お前は強くなりすぎて、俺達の手の届かない場所まで言ってしまったんだな…… それに、最近、妙に西園と一緒に居ると思ったら…… そんな浮気なんてお父さんは許しませんぞ……! しかし、この日記、日を増すごとに変態チックになってきていないか? この日記が再び開かれる時にはここにナニが記されることやら…… 考えるだけでwktk……恐ろしい。 ――今日は三枝と西園と3Pでサタデーナイトフィーバーだぜ、きゃっほい!! なんて事が間違っても書き込まれないことを心の底から願う。 理樹の行方は誰も知らない。by宮沢謙吾 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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