1/3ページ目 2月14日 バレンタイン。 朝の9時を過ぎた頃。 …俺は今朝、登校するべきか否か迷っていた。 自慢ではないが、俺はモテる。 どれくらいモテるかというと、文字通り学校の校舎が破壊されるぐらいモテる。 教師には、お前が来ると学校が壊れる。出席数は減らさないからこの日は寮に居てくれ、と泣きながら言われる始末。 実はさっきも学校から電話があって、「お願いしますから今日は休んでください」と言われたばかりだ。 ちなみに、自室に居ると命が危ない(押し寄せてきた女子に窓から突き落とされる←二年前のトラウマである)ので今は理樹の部屋に隠れている訳だが。 「はぁ、すっげぇ不本意だが…今日は休むか」 こんな面白い日、言い換えてみればビックイベントのある日に学校を休むのは俺の主義に反する………だが、今学校にいる俺の可愛い彼女、二木佳奈多の仕事(主に風紀の取り締まり)を増やしたくはないので、今日の欠席を決定するに至る。 「…暇だ、マンガでも読むか」 理樹の本棚に向かう。 スクレボ持ってくればよかったな、少しだけ後悔した。 取り敢えず、身近にあったドラゴンボールを読み始める。 理樹は最近これにハマっていた。 この前、ヤムチャの全盛期は三巻だよね。とか言ってたしな。 アイツ、違う方面でバカに目覚めたか? コンビニ中毒だし。 東京ドームの回転ドアについてやたらと語り出すし。 脈絡無いのは三枝に似てきたな? おっ、来たなラディッツ。 そういえば、俺の戦闘力ってなんだろうな? 塚、この戦闘力5の農民、何回も殺されてるよな。 しかも、生き返ったって設定無かったし。 不死身か? ……………………………………………………………………………………………… ペラ… ペラペラ… 暫く、ページを捲る音だけが響く。 「…佳奈多はやっぱ忙しいのか?」 今頃風紀を乱す輩を取り締まる為に校内を駆けずりまわっているであろう、彼女兼風紀委員長に想いを馳せる。 「まぁ、三枝と理樹が居ないだけいいと思うが…」 理樹と三枝は今日は休んで(サボって)理樹の実家に遊びに行くようだ。 あの2人が悪戯を仕掛けて来ないだけ平和か… いや、美鳥とか朱鷺戸とか、来ヶ谷とか、その他諸々がいるからな…そう変わらんか。 「…怪我とか、してないといいんだが…」 風紀の取り締まりは体を張った仕事である。 いくらストレルカやベルカがついてるといえ、危険が多い仕事なので、自然と事故に巻き込まれることがある。 あまり、怪我をする姿は見たくなかった。 「心配してくれてるの?」 「勿論だ。自分の彼女が怪我しないかとか、心配しないような馬鹿はいないだろう?」 返事を返す。 「そう…」 俺の隣で漫画を覗き込むようにして読んでいた彼女は少しだけほっぺたを赤くして俺に微笑んだ… 「…って、ありゃ?佳奈多お前、何時からいた?」 時計を見るとまだ昼前。 今は授業中の筈だ。 「確か、ハゲのビームでナメック星人が死んだ辺りから」 「結構前から居たんだな。わりぃ、気がつかなかった…で、学校は?」 あと、ナッパなそいつ。 「葉留佳が危篤って言ったらすぐに帰してくれたわよ?」 「そ、そうか」 すまん、三枝。 お前、クラス中で危篤になってることになってる。 すまん、理樹。 お前の彼女、危篤にされてる。 「まぁ…程々にな?」 「貴方がそれを言う?いつも結構危ないこと、率先してやってるじゃない…」 まぁ…それを言われたら御仕舞いだが… クスクスと佳奈多は笑う。 取り敢えず、棘の無い口調、笑い方だったので遠慮せずに彼女を抱きしめる。 「全く、まだ日も高いのに節操がないわね」 「嫌だったか?」 ううん、と言いながら抱擁を解き、寧ろ好きだから。そう言ってふわりと微笑む。 それから、彼女は綺麗にラッピングされた小さな黒い箱を取り出し、俺に差し出した。 「これ、バレンタインの……私、初めてこういうの作ったから…自信無いけど…………きゃっ!?」 もじもじと恥じらう彼女が可愛らしくて、愛しくて…俺はそのまま佳奈多をベットに押し倒した。 『あの、ここ僕のベッド…』 何て言う理樹の困った顔が安易に想像出来たが、その理樹本人は、今頃、実家の無駄に広い自分用の部屋で三枝と胸焼けするほどに甘いひとときを過ごしていることだろう… 何せ、真人専用の筋トレ部屋(ジム)。 謙吾専用の和室。 俺専用のアスレチック(ほんのり危険)。 鈴専用の猫部屋(風呂付きの温室。猫だらけ約700はいると思う)。 様々な部屋が取り集められ、 更には専属のメイド隊までいる始末。 確か母方の会社がとんでもなく大手の企業で、これはまた目茶苦茶な金持ちらしい。 三枝の家と二木の家の繰り広げていたお家騒動など、お子ちゃまのおままごとのように思えてきますネ…いや〜…お恥ずかしい限り…あ、理樹くん、この部屋もらっていい? by葉留佳。 まぁ…だから安心。 「ちょっと、恭介…?」 「…取り敢えずチョコとお前を喰いたい」 『いや、そこ僕のベッド…』 悪いな理樹。 「…仕方がないわね」 彼女が目を閉じる。 俺はそのままキスすべく佳奈多の唇に近づいていく。 しかし、人生全てがそう上手くいく訳ではないらしい。 「佳奈多さん!三枝さんはどうなりましたか…ってわふー!!?めいくらぶなのですかー!?!」 ばんっ!! 物凄くいきなり、脈絡なく来やがった。 えっと、KY能美。 しかも逃げたし。 …って!? 「「追うぞ(わよ)!!」」 マズイ。 このままだとマズイ。 色々マズイ。 俺たちはそのあと一日中「み、見てませんよぅ!」とかシャウトしつつ逃げる能美を追いかけ続けた。 ちなみに、コノ事件のアト俺の称号がろーりぃに変わっていたり(ウォーリーみたいで嫌だった。) 、佳奈多がろーりぃ二号の称号を与えられ、ろりの犯罪者カップルとして全校に広まったり、恭介を追いかけ回してきた女子が暴動を起こして文字通り学生寮を半壊させたことは言うまでもない。 更に、この後クドから直接話を聞いて誤解を解くまで恭介は鈴に変態と呼ばれ続けたという。 謙吾に続く↓ [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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