1/1ページ目 『愛しいキミに優しい接吻を』 「今夜はいい月夜だな」 「そうね、一刀」 雲一つない星空。 そこに浮かぶ金色の満月を見つめる。 「まるで、華琳みたいだ」 ふと、そこから連想した言葉を口に出してみる。 「どういう事かしら?」 まぁ、当然の返答だろうな。 「あの満月を華琳だとするだろ?」 「…ええ」 華琳が月を見上げた。 「雲一つないあの空は、お前の成し遂げた覇道の末に生まれた平和な大陸。そして、満月のまわりに輝く小さな星の1つ1つが、お前のことを大切に思っている人たち。その人たちの思いだ」 「…貴方にしては上手いことを言うのね、一刀」 「まぁな…。思った事を正直に言ってみただけなんだけど、な」 ちらりと華琳の方を見ると、楽しそうな顔の奥に、少しだけ危うげな少女が垣間見えた。 「…ねぇ」 「どうした? そんな顔して」 別に、悪い事を言ったつもりはなかったんだが… 「私が月ならば、貴方は何なのかしら?」 「ふむ…」 まだ不安なんだろうか。華琳の前から姿を消して?約1年も放ったらかしにしてしまった俺もアレだが。 「きっと、俺は、月兎なんじゃないかな?」 「…え?」 そう言って、華琳を正面からそっと抱き締めた。 「あ、一刀…」 「言っただろ? 俺はいつだって、お前の傍に居てやる。お前が辛いときは隣で支えてやる」 ちゅっと軽く触れる程度に唇を重ねた。 「もう消えたりしないよ。仮に、また俺が姿を消したとしても…絶対にもう一度帰ってくる。いや、何度だって帰ってきてやる」 「…一刀」 「それに、俺の死地はお前の隣だってもう決めたからな?」 もう一度、唇を重ねた。今度はより深く、それでいて先程よりも優しい口付け。 「今の言葉、信じていいのよね?」 「勿論、というか寧ろ信じてくれないと俺が困る」 思わず苦笑した。華琳は本当に可愛い。 「絶対に、約束だからね?」 ほんのりと赤く染まった頬にそっと右手を当てる。 「大丈夫だよ。俺の大事な華琳……ずっと愛しているから」 最後にもう一度、口付けを交わした。 [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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