東方プロジェクト

しあわせのおと
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カチコチ-カチコチ-カチコチ-カチコチ…

今日も私は1人読書に耽る。
誰もいない図書館。
聴こえるのは、時計の音と、パラパラと私が捲る音だけ。

これが、私の世界。
そっと紅茶を口に運ぶ。 甘い味が口中に広がる。

それが私のしあわせだった。




『しあわせのおと』

パチュ×マリ/ほのらぶ



そんな日常がもう100年近く続いていた。
図書館だけが、私の世界。そう思っていた。

或いは、そう思いたかったのかもしれない。

怖かった。外を知ってしまう事が。
私は怯える子猫のように、頑なにそれを拒んだ。

震えて。
埃だらけの図書館に閉じ籠って…




―…それは、いつだったか。
貴女が此処に現れた。

その日。
やはり私は本を詠んでいた。
あれは夕暮れ時だった。


―…バタァアァン!!


とんでもない音とともに図書館の扉がぶち抜かれた。
『いつつ…』

扉をぶち抜いた犯人は、蝶番で鼻を打ったらしく暫くのたうち回る。

『なんだ?埃だらけだな』

暫くして部屋に入ってきた彼…いや、彼女。

それは咲夜でもレミィでも、ふらん(本人の希望により平仮名)でもなかった。

『私は魔理沙。霧雨魔理沙だ』

お前は?
と彼に聞かれた。

だから私は答えた。


―…パチュリー


素っ気なく。
怖かったから。

『いい名前だな』

彼女は笑った。

そこでお話は終わりの筈だった。
終わらせるつもりだった。

『じゃあ、行くぜ?パチュリー。』

―…しっかり掴まってろよ?
でも、現実の私は、箒の上、彼女の背中に抱き着いて空を飛んでいた。
…怯えるのと同時に、私は望んでいたんだ。
日常を変えてくれる誰かを。
だから、私は貴女の優しさに応えた。

その日。
私は初めて館の外にでた。初めてみる外の風景。

美しかった。
緑が生い茂り、花が咲き乱れて。
埃っぽい図書館なんて、比じゃなかった。

そして、抱き締めていた彼女が温かくて。

私は彼女により強く抱き着いた。

もう怖いものなんてなかった。
私の世界は、本当のしあわせをみつけたんだ。

『外もいいもんだろ?』

「うん!」

彼女からの問い掛け。
私は笑って応えた。
初めて、声をあげて笑った。
暫くがむしゃらに飛んで。魔理沙が落ちかけて。
私は笑った。

死ぬほど楽しかった。




帰り際。
館の前で私は聞いた。

―…また、遊びに来てもらえる?

彼女は笑顔で答えた。

『いつでも来てやる』

今度は一緒に本でも読もう。
そう言ってくれた。

この気持ちは、恋と呼ぶべきだろうか。

まだ未熟な私にはわからない。



…ただ。
その日から、図書館の扉を叩く音、彼女が私を呼ぶ声、彼女の笑い声が。


…私の"しあわせのおと"になった。


present-kuretuki

あとがき。

紅魔の駄作。ほのらぶですね、たぶん(笑)
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